代表部の活動

香港特別行政区設立10周年記念セミナー「国際金融センター 香港の新たな可能性」を開催
2007年5月8日
 本日(2007年5月8日)、都内にて開催された「国際金融センター 香港の新たな可能性」と題するセミナーで基調講演を行った香港金融管理局の任志剛(ジョセフ・ヤム)総裁は、中国本土の改革開放に対して、また国際金融センターとしての香港の地位を維持する過程において、香港がさらなる貢献をするための戦略の概要を語った。同セミナーは香港特別行政区政府 駐東京経済貿易代表部と日本経済新聞社が共同で開催し、600名を超える日本政府、学界、経済界からの出席者で会場は満席となった。

 任総裁によれば、一つの国である中国が明白な違いのある二つの金融制度を持つことは異例なことであり、現在、その二つの制度間の協力関係を強化する必要があるとの認識が高まっている。今年1月に開催された中国の全国金融工作会議についての記事によれば、温家宝首相は“本土と香港の間の金融面での協力を引き続き進め、本土と香港の二つの金融制度間の互助的、補完的かつ相互作用的な関係を一層発展させ、また国際金融センターとしての香港の地位と有用性をさらに強化、促進する”必要があると語っている。

 これら二つの金融制度間の協力の原則と利益は明らかであるが、細部については多くの作業が必要であると任総裁は説明した。協力関係を前進させる戦略はいずれも、本土・香港双方の状況を考慮に入れなければならないだろう。これに関しては、2006年3月に全国人民代表大会により承認された第11次5ヵ年計画が、それらの利益がどのようなものであるかを明確に示している。香港の曾蔭権(ドナルド・ツァン)行政長官は、2006年に同計画についての経済サミットを開催し、「金融サービスに関する分科会」に今後の方針を策定する任務を与えた。同分科会は今年1月に報告書を出している。

 この報告書では、本土での金融改革の優先順位に関連して、香港の金融制度が果たし得る、かつ果たすべき3つの役割を設定している。第一の役割は本土と世界との間の金融仲介に関するものであり、第二の役割は本土における国内金融仲介の支援に関わるもの、そして第三には香港が人民元の資本勘定の交換性と同通貨の国際的な利用増大の実験室となることである。

 香港の金融制度がこのようなニーズに対応するための戦略を任総裁は説明した。この戦略は5つの主要な要素からなり、第一の要素は本土で香港の金融機関のプレゼンスを拡大させることだと述べた。第二の要素は、本土当局と協力して本土の投資家、資金調達者、関連資金、および金融機関や金融手段の外向きの流動性を高めることと関連する。第三には、香港の本土企業が発行するH株を含む香港の金融商品を本土投資家も利用できる道を開くことである。第四の要素は、国際通貨としての人民元の地位向上を見越して、香港が人民元建ての金融取引の取扱い能力を高めることである。そして第五の要素は、本土と香港の金融インフラの連携強化である。

 任総裁は、この戦略の五大要素に合致する具体的提言は中国全体にとって有益なものとなるであろうと述べた。二つの金融制度間の協力関係は、中国の持続可能で急速な経済成長に資するものであり、同時に地域的、世界的観点からもアジアの近隣諸国および世界経済に恩恵をもたらすであろう、と任総裁は語った。

 任総裁は国際金融センターとしての香港の発展に重要な役割を果たしてきた日本社会に対し、香港に進出して、そのメリットを十分活用するよう呼びかけた。

 今日のセミナーには、日本経済研究センターの小島明会長、早稲田大学公共経営研究科の榊原英資教授、東京大学大学院経済学研究科の伊藤元重教授、香港特別行政区政府エコノミストの郭國全(クォック・クォックチュエン)氏も参加した。

 本セミナーは、香港特別行政区設立10周年記念行事の一つとして開催された。


基調講演を行う香港金融管理局の任志剛(ジョセフ・ヤム)総裁

質疑応答で質問に答える任総裁。写真・左はモデレーターの小島明 日本経済研究センター会長

パネルディスカッションでは専門家による活発な議論が行われた。(写真・左から)日本経済研究センターの小島明会長、香港特別行政区政府エコノミストの郭國全(クォック・クォックチュエン)氏、東京大学大学院の伊藤元重教授、早稲田大学の榊原英資教授

以 上

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