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(東京事務所)

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【進出事例】2020年11月
Gap Inc.

アフター・コロナ時代にデジタル活用を拡大

クリストフ・ルーセル (Christophe Roussel)
Executive Vice President
Global Sourcing

新型コロナウイルスの感染拡大により、ファッション産業においてデジタル・テクノロジーをさらに取り入れていくという動きに弾みがついているなか、米国のファッション小売企業、Gap Inc.には明るい兆しも見えていると同社で国際ソーシング・製造を統括するExecutive Vice President クリストフ・ルーセル氏は、話す。

国際調達で30年以上の経験を持つソーシングのベテラン、ルーセル氏は、新型コロナウイルスにより、ソーシングとサプライチェーン運営において生じていた変化に拍車がかかったという。

「香港は、長きに亘り、人と人が出会う交差点でした。各国が、中国本土から機械を購入したり、原材料を調達したりする際のゲートウェイであり、世界のファッション産業にとってのプラットフォームだったのです」と同氏は話す。

同氏はさらに、「しかし、衣料品製造については、製造拠点が中国から東南アジア、そして今では南アジアに移ったことにより、その重心がこの4~5年の間に移行し続けています。そして、ここ12~15か月では、そのペースがさらに加速しています」と述べる。その結果、新たな地域戦略の策定と急速に拡大するデジタルの活用が見受けられる。

Gap Inc.の世界全体にわたるグローバル・ソーシング・オペレーションを統括する同氏は、香港は今後も重要性を維持するだろうとして次のように語る。「香港に拠点を構えていれば間違いないでしょう。税制面のメリットがありますし、優秀な人材もいます。新型コロナウイルスの影響がなければ、香港からアジア地域内のどこへでも容易に移動できます。」

つまり、いくつかの国にまたがる機能を管理するには非常に優れたロケーションなのである。「私の傘下のデータ分析チームはデリーにいます。新しいファブリックや材料は、韓国と台湾で開発されています。つまり、デジタル化の進展とデジタルツールの増加に伴って、今後はますます連携や協業が行われることになります」と同氏は話す。

新型コロナウイルスによる加速

新型コロナウイルスの影響を受け、ソーシングとサプライチェーンにおける変化はさらに加速していくであろう。「持続可能性からデジタル・ソリューションに至るまで、ファッション産業は遅れをとっています」とルーセル氏は述べ、さらに、コロナ禍と衣料需要予測の見直しが相まって、業務改善につながる可能性があるとも話す。

「ファッション産業は、これまでもデジタル技術を活用するようになってきてはいました。しかし、人々の移動が制限されることにより、今後数か月の間には、オンラインへの大幅なシフトが起こるでしょう。」

香港にとって、これは適応するということを意味する。同氏は言う。「次々と新しいデジタル・プラットフォームが開発、導入されるようになり、企業が多くのバイヤーを各地に送るという時代は終わりました。今後は、バーチャル・サンプルを活用して迅速に対応することが可能になるでしょう。」

今後、ファッション産業では、サプライチェーンの一連の過程と製品開発プロセスの透明化が進んでいくことが予想される。テクノロジーは需要と供給をマッチさせるようカスタマイズされなければならず、また、それにはデジタル戦略やトレーニングをさらに広く導入する必要がある。この点において、提供する教育プログラムや産業側のニーズに応じた研究調査という点で、大学が特に重要な役割を担うだろうと同氏は考えている。

デジタル・ソリューションへの依存が大きくなるということは、香港でソーシングやサプライチェーン管理の仕事をする上で必要なスキルも変わってくることになる、と同氏はさらに指摘する。それでも、生産性が向上し効率化が進むことで、ファッション産業は香港経済の継続した成長の一端を担うことになるだろう。MD(マーチャンダイジング)の役割もまた、香港経済にとって重要である。

「香港での事業活動は、戦術的(具体的・実践的)というよりも、戦略的(総合的・長期的)になっていくでしょう。サプライチェーンの一連の過程と製品開発プロセスの透明化は、需要と供給をマッチさせるために用いられるテクノロジーにより、今後さらに進化していくことになるでしょう。そうなれば、ベンダーの数は減り、各ベンダーの規模が大きくなり、統合や戦略的提携が行われるでしょう」と同氏は話す。

ルーセル氏によれば、こうした動向は、全てのサプライヤーを注視していなければならないということを示している。サプライヤーが布地生産者と一体化することも起こりうるであろう。こうした統合の過程で、際立った存在になり得るのは、規模が最大で最強な企業である。

https://www.gapinc.com/en-us/

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Gap Inc. (0.3MB)

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